愛する人が亡くなり、数時間もしないうちに電話口で保険証券の番号を聞かれる。 悲しみと事務手続きは一緒にやってきます。しかも、どの順番で片づければいいかを 渡してくれる人はいません。このページがその順番です。家族が亡くなったときに することを、最初の数時間から数か月後まで、チェックリストとしてまとめました。 それぞれの段階で求められる書類も添えています。
リストの前にひとつだけ。この中に「今すぐやらないとまずいもの」はほとんど ありません。遺体の安置と近しい家族への連絡以外は、たいてい数日から数週間 待てます。深呼吸する時間を取ったからといって、何かが崩れ落ちたりはしません。
要点まとめ
ひとつのセクションしか読めないなら、ここを読んでください。
- 死亡の法的な確認を取る(病院やホスピスなら施設側が行います。 自宅なら911番かホスピスの看護師に電話します)。
- 葬儀社を決め、事前の予約や契約がないか伝える。
- 近しい家族と勤務先に知らせる。
- 遺言書を探し、家、ペット、車、郵便物の管理を確保する。
- 死亡証明書の認証コピーを5〜10通、葬儀社を通じて注文する。
- 社会保障庁、年金、VA、保険会社、銀行、信用情報機関に、 続く2週間のあいだに届け出る。
- 遺産の手続きを始める:遺言検認または少額遺産向けの簡易手続き、 最後の確定申告、退職年金口座、不動産、車、定期契約の解約。
以下は、同じリストに詳細を書き足したものです。
最初の数日:家族が亡くなったときにすること
死亡の確認。 何をするにも、まず死亡が法的に宣告される必要があります。 病院やホスピスなら職員が行います。自宅での場合、ホスピスケア下での予期された 死ならホスピスの看護師に電話するのが普通で、予期しない死なら911番に電話します。 この確認が、のちに死亡証明書になる書類のもとになります。
葬儀社。 1社決めて、遺体の搬送を依頼します。故人が葬儀を前払い・事前予約 していた場合、その契約書はたいてい他の大事な書類と一緒にファイルに入っています。 何かに同意する前に10分だけ探してみる価値があります。すでに支払い済みかも しれないからです。故人が退役軍人なら葬儀社の担当者に伝えてください。 VAの埋葬・追悼給付が使えることが多く、 請求には除隊証明書(DD-214)が必要になります。
人に知らせる。 まず近しい家族や友人に、次に勤務先に。勤務先はあとで書類の 出どころにもなります(最後の給与、団体生命保険、退職年金プラン、未使用の 有給休暇など)。故人が誰かの世話をしていた場合(扶養していた子どもや親など)、 そのケアの手配は今日中に行います。
遺言書と事前手配を探す。 よくある場所は、自宅の書類棚や金庫、銀行の 貸金庫、作成を依頼した弁護士の事務所、信頼している子どもの家などです。州に よっては、地元の遺言検認裁判所に遺言書を預けられるところもあります。探す ついでに、葬儀の希望、墓地の区画、臓器提供の意思に触れた書類があれば メモしておきましょう。これらは早めに決める必要のあることです。
実務的なものを確保する。 家に鍵をかけ、空き家になるなら近所の人に一言 伝えます。ペットの預け先を決めます。車は安全な場所に移します。郵便物は 回収して、封筒はすべて保管してください。故人宛ての請求書や明細こそが、 誰も知らなかった口座を発見する手がかりになります。しばらくは未開封のまま 捨てないこと。郵便局に郵便物の保管や転送を依頼するのも検討してください。
最初の2週間:死亡証明書と届け出先
死亡証明書:必要な通数。 これが他のすべてを開く鍵です。銀行、生命保険 会社、年金の管理機関、社会保障庁、DMV、郡の登記所は、何かを変更する前に ほぼ必ず提示を求めてきます。しかも多くの場合、単なるコピーではなく、 浮き出し印のある認証コピーを要求されます。アメリカで認証コピーを発行 するのは州や郡の戸籍記録係で、葬儀社が葬儀の手配時にまとめて注文してくれる のが普通です。あとから戸籍記録係を通じて追加注文することもできます。 ほとんどの家族が最終的に5〜10通を必要とします。最初にまとめて頼むほうが 安く済みますし、「3週間たってからあと2通必要だと気づく」よりずっと楽です。
ソーシャルセキュリティ。 アメリカでは、ソーシャルセキュリティ番号を 伝えれば、葬儀社が社会保障庁に死亡を報告してくれるのが普通です。報告された かどうかは確認しておきましょう。死亡月以降に支払われた給付金は基本的に 返還が必要で、残された配偶者や扶養されていた子どもには遺族給付の受給資格が 生じる場合があります。詳細はssa.govにあります。
年金とVA。 年金プランの管理機関には電話を。遺族給付が出るものもあれば 完全に打ち切られるものもあり、どちらにしても死亡の事実を知らせる必要が あります。故人が退役軍人なら、VAには埋葬、追悼、遺族向けの制度があります。 原本が見つからない場合、DD-214は国立公文書館に請求できます。
勤務先の福利厚生。 人事部に、最後の給与、未使用の休暇、団体生命保険、 退職年金プラン、そして配偶者や子どもの健康保険が継続するかどうか、継続する ならいつまでかを確認します。
生命保険の請求。 保険ごとに個別の請求が必要で、指定された受取人が 認証コピーの死亡証明書を添えて申請します。保険証券は書類ファイルの中、 銀行の明細(保険料の引き落としに保険会社名が出ます)、勤務先を通じて探します。 何十年も前の古い保険でも、契約が維持されていれば支払われます。
銀行口座とクレジットカード。 各行に届け出ます。共同名義の口座は通常、 残された名義人がそのまま使えます。故人の単独名義の口座は、遺言執行者か 指定された受取人が請求できるようになるまで凍結されます。故人単独名義の クレジットカードは解約し、最終明細を請求します。その間も住宅ローン、 公共料金、自宅の保険は払い続けてください。遺産からあとで精算できます。
信用情報機関。 Equifax、Experian、TransUnionに死亡証明書のコピーを送り、 ファイルに「死亡・信用供与不可」の記載を求めます。手順はFTCの IdentityTheft.govに説明があります。故人の 身分を使った詐欺は珍しくないので、後回しにするより早めに済ませる価値が あります。
デジタルアカウント。 メール、電話、クラウドストレージのアカウントは、 これから1年間、明細や通知が届く受け皿になります。可能なら今は生かして おきましょう。電話番号を解約する前に、スマホのパスコードとパスワードの 一覧を確保してください。多くのアカウントが確認コードをその番号に送って きます。AppleとGoogleのどちらにも、いざアカウントを閉じるときのための レガシーコンタクトの仕組みがあります。
最初の数か月:遺言検認、税金、遺産
遺言検認の基本。 アメリカでは一般的に、遺言書は故人が住んでいた郡の 遺言検認裁判所に提出され、裁判所が遺言執行者を承認します(遺言書がない 場合は管理人を選任します)。この選任の証明(「遺言執行者選任証書」と呼ばれる ことが多い書類)は、故人単独名義の口座を解除する前に銀行や証券会社が求める 書類です。多くの州では一定の金額以下なら簡易な少額遺産手続きがあり、 受取人が指定されている財産や共同名義の財産は遺言検認を通らずに移転します。 USA.govのチェックリストがよい出発点 です。法律的に不確かに感じることがあれば、推測で進めるより、遺産問題に 詳しい弁護士との短い相談のほうがはるかに価値があります。
最後の確定申告。 誰か(通常は遺言執行者か残された配偶者)が、死亡した年の 故人の最後の個人所得税申告を行います。遺産の手続き中に所得が発生する場合は、 遺産の所得税申告も必要になることがあります。誰がどう申告するかは IRSの説明を 参照してください。過去数年分の申告書は今のうちに集めておきましょう。利子や 所得を支払った銀行、証券会社、年金が一覧になっているので、故人が何を持って いたかを知る最高の地図になります。死亡が確定申告の時期と 重なる場合も、通常の申告期限は基本的に変わりません。
退職年金口座。 IRAや401(k)は遺言書ではなく、受取人の指定によって 移ります。各プランに死亡証明書を添えて連絡を。受取人に認められる選択肢と 期限は故人との関係によって変わり、ルール自体も変わるので、プランの案内と IRSの情報を確認してください。
不動産の名義。 生存者権付きの共同名義の自宅は、通常、死亡証明書を登記 するだけで残された名義人に移ります。故人単独名義の自宅は遺産の手続きを 通ります。住宅保険は継続したままにし、空き家になる可能性があることを保険 会社に伝えてください。多くの保険には空き家条項があります。
車。 DMVでは、死亡証明書と裁判所の選任証書(少額遺産手続きが使える 場合はその宣誓供述書)で名義変更や再登録ができます。名義が変わるまでは 自動車保険を継続してください。
定期契約と毎月引き落とされるものすべて。 動画配信、ジム、電話、 インターネット、雑誌、慈善団体への寄付、そして毎月カードに請求される 何十もの小さなものたち。最初の2か月に届く明細が、届くたびにいくつかずつ 教えてくれます。解約できるものは解約し、残された人が使い続けるものは 名義を移します。
家族が亡くなったときに必要な書類:誰が何を求めるか
初日に全部は要りません。これから数か月の作業用セットと、原本が必要か どうかのメモだと思ってください。
| 書類 | 求めてくる相手 | たいていある場所 | 原本かコピーか |
|---|---|---|---|
| 死亡証明書の認証コピー | 銀行、保険会社、社会保障庁、DMV、年金機構、郡の登記所 | 葬儀社または戸籍記録係で注文 | 認証コピー — 5〜10通注文 |
| 遺言書と信託の書類 | 遺言検認裁判所、遺言執行者、遺産問題の弁護士 | 書類棚、金庫、貸金庫、弁護士の事務所 | 署名入りの原本 |
| ソーシャルセキュリティ番号 | 葬儀社、社会保障庁、保険会社、IRS | ソーシャルセキュリティカード、確定申告書、メディケアカード | 番号だけで可 |
| 出生証明書 | 社会保障庁、年金機構、VA(遺族給付のため) | 他の戸籍類と一緒。出生した郡が写しを発行 | 認証コピー |
| 婚姻証明書 | 社会保障庁、年金機構、保険会社(配偶者給付) | 他の戸籍類と一緒。発行した郡に写しがある | 認証コピー |
| 離婚判決書(あれば) | 年金機構、社会保障庁(元配偶者の給付) | 判決を出した裁判所 | 認証コピー |
| 除隊証明書(DD-214) | 葬儀社、VA、国立墓地 | 個人のファイル。国立公文書館に請求も可 | たいていコピーで可 |
| 生命保険の保険証券 | 保険会社(請求ごとに) | 書類ファイル、勤務先の人事、明細の保険料引き落とし | コピー。原本は保険会社が保有 |
| 医療・住宅・自動車の保険証券 | 保険会社(解約や名義変更のため) | 書類ファイル、メール、保険会社のアプリ | コピー |
| 銀行・クレジットカードの明細 | 遺言執行者(口座の発見と精算のため) | 郵便、ネットバンキング、メール | コピー |
| 投資・証券口座の明細 | 遺言執行者、遺言検認裁判所の財産目録 | 郵便、オンライン口座 | コピー |
| 退職年金プラン・IRAの明細 | プランの管理機関、受取人 | 勤務先の人事、プランのウェブサイト、郵便 | コピー |
| 年金・個人年金の書類 | プランの管理機関 | 書類ファイル、勤務先の人事 | コピー |
| 権利証と住宅ローンの書類 | 郡の登記所、タイトル会社、遺言検認裁判所 | 金庫、購入時のファイル、郡の記録 | 権利証は原本があれば。登記された写しも存在 |
| 車の所有権書類と登録証 | DMV、買い手または新しい所有者 | 書類ファイル、ダッシュボード(登録証) | 所有権書類は原本 |
| 直近の確定申告書(3〜7年分) | 遺言執行者、最後の申告をする人、IRS | 書類ファイル、税理士、IRSの記録(請求可) | コピー |
| 貸金庫の鍵と契約書 | 銀行 | 鍵束、机の引き出し | 鍵は現物 |
| パスワード、スマホのパスコード、デジタルアクセス情報 | 遺言執行者、家族 | パスワード管理ツール、ノート、スマホ | あるものを使う |
| 葬儀の事前予約書や墓地の権利書 | 葬儀社、墓地 | 遺言書や保険の書類と一緒 | あれば原本 |
| 請求書、ローン、定期契約の通知 | 遺言執行者(精算・解約のため) | 届いてくる郵便とメール | コピー |
紙の原本が大事なのは、短いリストに限られます。認証コピーの死亡証明書、 署名入りの遺言書の原本(裁判所は基本的に原本を求めます)、権利証と車の 所有権書類、そして浮き出し印や直筆署名のある書類。これらはひとつの物理的な 場所(フォルダひとつ、あるいは耐火金庫)にまとめて置き、それ以外はコピーに 任せましょう。その「ひとつの場所」がどこかを家族が知っていることも含めてです。
家族みんなで「見つけられる」状態にしておく
本当に大変なのは、個々の書類そのものではありません。書類が散らばっている ことです。書類棚、机の引き出し、貸金庫、メールの受信トレイ、靴の箱。しかも 探すのはいつも、疲れ果てている最中に、何都市にも離れた複数の人間によって 行われます。
人間にやさしいやり方はこうです。
- 箱をひとつ。 書類の形をしたものは全部そこへ。仕分けしない、判断 しない、決断しない。「見つける」と「整理する」は別の仕事で、両方を同時に やるのが人を溺れさせます。
- 届いたらスキャン。 書類も、届く郵便の封筒も、さっとスキャンして おけば、保険会社から電話で証券番号を聞かれても、また箱を発掘しなくて 済みます。Paperlockのようなアプリが静かに引き受けるのはまさにこの仕事 です。スキャンを保存すれば、アプリが書類そのものを読み取ります。何の 書類か、誰から届いたか、日付や金額を把握して、Face IDの奥に整理して 保管します。1週間後に「父の生命保険、どこと契約していたっけ?」と聞けば、 書類を添えた答えが返ってきます。まだ入っていなければ、それも教えて くれます。「遺産」とラベルしただけの平凡な写真アルバムでも、家中を探し 直すよりはずっとましです。
- 誰が何を持つか決める。 紙の原本はひとりが保管し、場所を共有する。 電話連絡の担当もひとりに決め、一覧を更新し続ける。誰に、いつ連絡したか、 何を求められたか、照会番号は何か。古い明細を読んで口座を洗い出す作業は、 3州離れた兄弟でもスキャンさえあればできます。
- 終わったあともリストを残す。 遺産関係の書類、最後の確定申告、口座 解約の通知は、何年も保管する価値があります(どの書類をどのくらい残すかはこちら)。 原本は、一軒の家のフォルダひとつだけに頼るのではなく、ちゃんとしたバックアップを 取るに値します。
いちばん優しい事務処理は、生前に済ませておくこと
ここまで読んで、自分の家族のことを考えたなら、その直感は正しいです。 上のすべてのステップでいちばん難しいのは「探すこと」で、そしてそれこそが、 あなたが愛する人たちのために取り除いてあげられる部分です。今月、簡単に できるうちに。
遺言書、保険証券、権利証、口座の一覧、スマホのパスコードを、信頼できる ひとりが見つけられる場所に置き、その場所を伝えておくこと。 デジタル緊急バインダーは、まさにこれを 順を追って作るためのものです。大切なもののコピーをひとつの場所に集め、 鍵をかけ、探しまわるのではなく「聞けば見つかる」状態にする。いまの静かな 数時間が、あとであなたを悼む誰かの何週間もの探索と引き換えになります。