相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、被相続人(亡くなった人)の最後の住所地の家庭裁判所に申述します(民法第915条)。費用は収入印紙800円分(申述人1人につき)と連絡用の郵便切手です。3か月で決められないときは、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てられます。期限内に限定承認も放棄もしないと、単純承認をしたものとみなされる場合があります。
- 3か月以内自己のために相続の開始があったことを知ったときから
- 最後の住所地申述先は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
- 800円収入印紙。申述人1人につきほかに連絡用の郵便切手が必要
- 撤回不可放棄は、3か月以内でも撤回できない
出典:裁判所、民法第915条・第919条・第921条(2026年10月確認)。
3つの選択肢
裁判所の案内では、相続が始まると、相続人は次の3つから選べます。
- 単純承認:土地などの権利も、借金などの義務も、すべて受け継ぐ。
- 相続放棄:権利も義務も、一切受け継がない。
- 限定承認:相続で得た財産の範囲で、借金などを受け継ぐ。財産が残るか、借金がどの程度か不明なときに使います。
放棄と限定承認は、家庭裁判所に申述しないとできません。市区町村や法務局に届け出るものではありません。限定承認は、相続人全員が共同して行う必要があり、申述の期間(3か月)と申述先(被相続人の最後の住所地の家庭裁判所)、費用(収入印紙800円分と郵便切手)は放棄と同じです(裁判所)。放棄は、相続人がそれぞれ単独で申述します。放棄をした人は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法第939条)。
3か月の起点と、調査
- 知ったとき自己のために相続の開始があったことを知る(起点)
- 3か月以内財産・借金の調査をして、承認か放棄かを決める
- 期限の前決められないときは、家庭裁判所に期間伸長を申し立てる
- 期限の日この日までに限定承認か放棄の申述
- 期限を過ぎると単純承認をしたものとみなされる場合がある(民法第921条)
民法第915条・第921条、裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」(2026年10月確認)。
起点は、亡くなった日ではなく、「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」と法律に書かれています。具体的にいつ知ったことになるかは個別の事情で変わるので、迷うときは家庭裁判所か専門家に相談してください。
3か月のあいだに、財産と借金の状況を調べておきます。民法第915条第2項は、承認や放棄をする前に、相続財産の調査ができると定めています。通帳、借入の契約書、請求書、固定資産税の通知書などを、早めに集めてください。
過ぎたらどうなるか
民法第921条は、次の場合に単純承認をしたものとみなすと定めています。
- 相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき(保存行為などを除く)
- 相続人が3か月の期間内に限定承認または放棄をしなかったとき
単純承認になると、借金も受け継ぎます。また、民法第919条により、承認と放棄は、3か月の期間内でも撤回できません。財産を使ったり処分したりする前に、放棄するかどうかを決めておく必要があります。期限を過ぎてしまった場合の扱いは個別に判断されるため、専門家に相談してください。
期間を伸ばしたいとき
3か月以内に調べても、承認するか放棄するかの資料が足りない場合、家庭裁判所は申立てによって熟慮期間を伸ばせます(民法第915条第1項ただし書)。申立人は相続人を含む利害関係人か検察官で、申立先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所、費用は収入印紙800円分(相続人1人につき)と郵便切手です。裁判所の案内は、3か月の熟慮期間内に決められない場合の申立てとしています。期限が近づく前に、早めに準備してください。
申述に必要な書類
標準的な書類は、申述書、被相続人の住民票除票または戸籍附票、申述人の戸籍謄本です。配偶者や子の場合は、被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本も要ります。親や兄弟姉妹の場合は、出生から死亡までのすべての戸籍が必要です。申述の前に入手できない戸籍は、あとから追加で出しても構いません。戸籍の取り方は戸籍謄本の取り方にまとめています。
全体の期限と、書類の置き場所
相続放棄は、死亡後の期限のひとつです。ほかの期限(死亡届の7日、年金の10日・14日、準確定申告の4か月など)は死亡後の手続き期限にまとめました。家族の書類の全体は家族が亡くなったときの書類も参考になります。
Paperlockに通帳や契約書、請求書の写真を入れておけば、日付や金額を読み取って保存し、「借入はどこにあったか」と質問して探せます。
どの選択肢が合うかは、財産や借金の状況、ほかの相続人との関係で決まります。判断が必要なときは、家庭裁判所の窓口や弁護士などの専門家に相談してください。