相続で集める書類は、3つのグループに分けると見通しが立ちます。1つ目は亡くなった人(被相続人)の書類で、出生から死亡まで連続した戸籍と住民票の除票。2つ目は相続人の書類で、全員の現在の戸籍と印鑑証明書。3つ目は財産ごとの書類で、不動産の登記事項証明書、通帳、保険証券、車検証など。1つ目と2つ目は、法務局の法定相続情報一覧図(無料)を作れば1回集めるだけで済み、銀行や法務局に戸籍の束を何度も出す必要がなくなります。期限は、相続放棄が3か月、相続税の申告が10か月、相続登記が3年。この記事では、集める順番と、それぞれの期限に何が要るかをまとめました。
- 7日以内死亡届(医師の死亡診断書を添えて市区町村へ)
- 3か月以内相続放棄・限定承認の申述(家庭裁判所)。熟慮期間
- 4か月以内亡くなった人の所得税の準確定申告
- 10か月以内相続税の申告と納税(死亡を知った日の翌日から)
- 3年以内相続登記(不動産を取得したことを知った日から。2024年4月1日から義務)
出典:法務省、国税庁、裁判所。2026年10月確認。
まず集める:戸籍、除票、印鑑証明書
亡くなった人の戸籍は、出生から死亡までが途切れずにつながっている必要があります。結婚や転籍で本籍地が変わっていれば、変わる前の市区町村の除籍謄本や改製原戸籍も要ります。2024年(令和6年)3月1日からは戸籍証明書の広域交付が始まり、本籍地が全国に散らばっていても、最寄りの市区町村の窓口で本人・配偶者・直系の親族の戸籍をまとめて請求できるようになりました。窓口に本人が行き、顔写真付きの身分証を提示する必要があります。郵送や代理人による広域交付はできません。取り方の詳細は戸籍謄本の取り方にまとめました。
住民票の除票(または戸籍の附票の除票)は、亡くなった人の最後の住所を示す書類で、登記簿上の住所と結びつけるために使います。
相続人の戸籍は全員分、亡くなった日以降に発行されたもの。印鑑証明書は、遺産分割協議書に実印を押すときに全員分が必要で、提出先によって発行から3か月以内か6か月以内の制限があります。印鑑証明書の有効期限は提出先ごとに違うので、集めるのは協議書がまとまる直前にします。
死亡届は死亡の事実を知った日から7日以内で、年金や健康保険の手続きと一緒に死亡届と死亡後の手続き期限に整理しています。
法定相続情報一覧図:戸籍の束を1回で終わらせる
- 無料法務局が認証文付きの一覧図の写しを交付戸籍の取得費と郵送料は別
- 複数通必要な通数を同時に受け取れる銀行ごと、証券会社ごとに同時に出せる
- 5年間法務局が一覧図を保管し、期間中は再交付できる再交付を申し出られるのは当初の申出人
出典:法務局「法定相続情報証明制度について」(令和6年4月1日改訂)。2026年10月確認。
相続人が亡くなった人と相続人の関係を1枚の図(法定相続情報一覧図)にし、戸籍の束と一緒に法務局(登記所)に提出すると、登記官が内容を確認したうえで認証文付きの一覧図の写しを無料で交付してくれます。2017年5月に始まった制度です。
申出先は、亡くなった人の本籍地か最後の住所地、申出人の住所地、亡くなった人名義の不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局で、郵送でも申し出られます。一覧図の写しは必要な通数を同時に受け取れるので、A銀行、B銀行、証券会社、法務局の相続登記、相続税の申告に同時に出せます。法務局は一覧図を5年間保管し、期間中は当初の申出人が再交付を受けられます。
注意点は2つ。一覧図に載るのは戸籍から分かる法定相続人だけで、相続放棄や遺産分割協議の内容は反映されないので、それらの書類は別に必要です。また、亡くなった人や相続人に日本国籍のない人がいる場合など、戸籍で確認できないケースは利用できません。
財産ごとの書類:何があるかを先に確定する
財産の書類は、種類ごとに集める先が違います。
| 財産 | 必要になる書類 | 入手先 |
|---|---|---|
| 不動産 | 登記事項証明書、固定資産評価証明書、名寄帳 | 法務局、市区町村 |
| 預貯金 | 通帳・キャッシュカード、残高証明書(死亡日時点) | 各金融機関 |
| 株式・投資信託 | 取引残高報告書、残高証明書 | 証券会社・信託銀行 |
| 生命保険 | 保険証券、死亡保険金の請求書 | 保険会社 |
| 自動車 | 車検証(電子車検証は記録事項も)、自賠責保険証明書 | 車内の車検証ケース |
| 負債 | 借入契約書、残高証明書、クレジットカードの明細 | 金融機関・カード会社 |
いちばん困るのが「どこに口座があるか分からない」ことです。亡くなった人が生前に預貯金口座へマイナンバーを付番していれば、相続人が任意の金融機関で相続時照会を申し込み、付番された口座の所在を一括で確認できます(手数料がかかり、一部の金融機関は対象外。照会できるのは死亡から10年後まで)。付番していなければ、通帳、キャッシュカード、郵便物、スマホの銀行アプリから1行ずつ探すことになります。
期限と、それぞれに要る書類
3か月:相続放棄・限定承認。 借金のほうが多いと分かったら、相続を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。被相続人の戸籍と住民票の除票、申述する人の戸籍が要ります。詳しくは相続放棄の期限にまとめました。
4か月:準確定申告。 亡くなった人に確定申告が必要な所得があれば、相続人が4か月以内に申告します。源泉徴収票、医療費の領収書、年金の支払通知書などを集めます。
10か月:相続税。 相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に申告が必要で、戸籍または法定相続情報一覧図、遺産分割協議書、財産ごとの評価資料を添えます。
3年:相続登記。 不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が、2024年4月1日から義務になりました。正当な理由なく申請しないと10万円以下の過料の対象です。2024年4月1日より前に相続した未登記の不動産も、2027年(令和9年)3月31日までに登記が必要です。遺産分割が3年以内にまとまらないときは、相続人申告登記をしておけば義務を果たしたことになります。
遺言書があるとき
自筆の遺言書が見つかったら、開封せずに家庭裁判所で検認を受けます。法務局の自筆証書遺言書保管制度で預けられていた遺言書は検認が不要で、相続人は全国どの遺言書保管所でも遺言書情報証明書の交付を請求できます。制度の使い方は自筆証書遺言書保管制度に、死亡後の手続き全体は家族が亡くなったときの書類にまとめました。
集めた書類を一か所に
相続の書類は、集める人と提出する人が違ったり、兄弟で分担したりします。手でやるなら、集めた書類をすべて撮影し、「相続」のアルバムを家族と共有して、提出した日と提出先をメモします。原本は提出先に返却を求められるものが多いので、戸籍の束は一覧図の申出のときに返してもらいます。
Paperlockに入れておけば、戸籍、残高証明書、保険証券、登記事項証明書をそれぞれ何の書類か読み取って整理し、「相続税の申告期限は?」「〇〇銀行の残高証明はある?」と聞けば、該当する書類を添えて答えます。期限の管理と書類の所在確認を一つの場所で済ませられます。
相続人の構成や財産によって必要書類は変わります。法務局の相談窓口、税務署、各金融機関の相続担当で、提出前に最終確認してください。