印鑑登録証明書(印鑑証明書)そのものに、法律上の有効期限はありません。それでも「3か月以内のものを」と言われるのは、不動産登記令が登記の申請に添える印鑑証明書を作成後3か月以内のものに限っているから(第16条第3項)で、公証人の手続きも同じ3か月を採用しています。自動車の名義変更(移転登録)も発行後3か月以内で、相続の預金払戻しなど金融機関の手続きでも同じような期限が設けられることがあります(期限は金融機関ごと)。だから印鑑証明書は「先に取って保管しておく」書類ではなく、提出日の直前に取る書類です。この記事では、期限の根拠、提出先ごとの違い、印鑑登録の条件と必要なもの、コンビニ交付、なくしたときの対応をまとめました。

印鑑証明書、3つの数字
  • 3か月不動産登記・公証人の手続きで求められる「作成後3か月以内」不動産登記令第16条第3項、法務省(公証)の案内
  • 15歳以上印鑑登録ができる年齢(新宿区の例)住民登録のある市区町村で登録。成年被後見人は条件つき
  • 6:30〜23:00コンビニ交付が使える時間(毎日)マイナンバーカードが必要。市区町村により時間の制限あり

出典:e-Gov法令検索(不動産登記令)、法務省、地方公共団体情報システム機構(コンビニ交付)、新宿区。2026年10月確認。

「3か月以内」の根拠は不動産登記令と公証人

不動産登記令第16条は、登記の申請書に押す印鑑について市区町村長が作成した印鑑証明書を添付することを求め、その証明書は作成後3か月以内のものでなければならないとしています。証明書を作成するのは住所地の市区町村長か登記官です。法人の代表者の印鑑証明書も作成後3か月以内のもので、法務省の案内では2020年3月30日から、申請情報に会社法人等番号を記載することで提供に代えられるようになっています。

公証人の手続きも同じです。法務省のお知らせでは、公正証書の作成や定款の認証などで嘱託人の本人確認に使う印鑑証明書は、2005年4月1日から作成後3か月以内のものに限られることになりました(それまでは6か月以内でした)。遺言公正証書や任意後見契約を作るとき、会社設立で定款の認証を受けるときに「3か月以内」と言われるのはこのためです。

この2つの公的な基準が、ほかの提出先の実務にも広がっています。

提出先ごとの目安:3か月が基本、ほかは提出先しだい

印鑑登録から証明書の取得まで
  1. 登録する印鑑を決めるゴム印、欠けた印、ほかの人がすでに登録した印は不可。1人1個
  2. 住民登録のある市区町村の窓口で申請する顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証・パスポートなど)を提示すれば即日登録
  3. 印鑑登録証(カード)を受け取る本人確認書類がない場合は照会書が郵送され、回答書を持参して完了
  4. 証明書を請求する窓口では印鑑登録証を提示。マイナンバーカードがあればコンビニでも取れる
  5. 取得日を控えて保管する提出先の期限(3か月など)から逆算して取り直す
提出先・手続き 期限の目安 根拠・備考
不動産の売買など(売主の分) 作成後3か月以内 不動産登記令第16条第3項
公正証書(遺言・任意後見など) 作成後3か月以内 法務省の案内
自動車の名義変更(普通車の移転登録) 発行後3か月以内 国土交通省の案内
会社の設立(定款の認証) 作成後3か月以内 法務省の案内(公証)
相続による預金の払戻し、遺産分割協議書 提出先が指定 金融機関ごとに異なる
住宅ローン・賃貸の連帯保証 提出先が指定 金融機関・貸主ごとに異なる

同じ相続でも、銀行ごとに求める期限が違うことがあります。相続手続きの必要書類を集めるときは、提出先ごとの期限を先に確かめ、いちばん短い期限に合わせてそろえるのが安全です。自動車の名義変更でも、譲渡証明書と一緒に3か月以内の印鑑証明書が要ります。

印鑑登録の条件と必要なもの

印鑑証明書を求められる主な場面と、期限の目安

印鑑登録は、住民登録のある市区町村の窓口で行います。各自治体の条例で運用されているため細部は違いますが、多くの市区町村で共通しているのは次の点です。

  • 15歳以上で、その市区町村に住民登録があること。新宿区の案内では15歳未満は登録できず、成年被後見人は成年後見人が同行していれば登録できます。
  • 1人1個。1個の印鑑を2人以上で登録することはできません。
  • 登録できない印鑑(新宿区の例):ゴム印など変形しやすいもの、輪郭が欠けたり摩耗したりして判読しにくいもの、ほかの人がすでに登録しているもの、氏名以外の文字(職業など)が入ったもの、印影が8mm角に収まるほど小さいか25mm角に収まらないほど大きいもの。

持ち物は、登録する印鑑と、顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、在留カードなど、有効期限内のもの)です。これがあればその場で登録が終わり、印鑑登録証(カード)が交付されます。写真付きの書類がない場合は、区役所から本人宛てに照会書が郵送され、回答書と印鑑、本人確認書類を持参して完了する二度手間になります。新宿区の登録手数料は50円です。手数料は自治体ごとに決まっています。

証明書の取り方:窓口とコンビニ

窓口では、印鑑登録証(カード)を提示して請求します。印鑑そのものを持っていく必要はありませんが、本人確認書類を求められることがあります。新宿区では、代理人でも印鑑登録証があれば委任状なしで請求できます。手数料は新宿区で1通300円で、自治体により異なります。

コンビニ交付は、マイナンバーカード(利用者証明用電子証明書が記録されたもの)か、スマホ用電子証明書を搭載したスマートフォンで、全国のコンビニのマルチコピー機から取る方法です。毎日6時30分から23時まで使えます(市区町村によって利用時間が制限されている場合があります)。注意点は、印鑑登録証ではコンビニ交付は使えないことと、市区町村によって取れる証明書の種類が違うことです。住民票の写しや戸籍証明書も同じ機械で取れます。

なくしたとき:登録証と実印

印鑑登録証をなくしたら、市区町村の窓口ですみやかに亡失の届出をし、必要なら改めて印鑑登録を申請します。新宿区では、緊急の対応として証明書の交付を一時停止する手続きを電話でも受け付けています。登録証がないと窓口で証明書を取れないので、相続や売買の予定がある人は早めに手続きしてください。

実印そのものをなくしたときは、すぐに印鑑登録の廃止を届け出て、新しい印鑑で登録し直します。廃止すれば、なくした印鑑で新たに印鑑証明書が発行されることはなくなります。悪用のおそれがあるときは警察にも届け出ます。実印は日常で使うものではないので、印鑑登録証とは別の場所に保管し、持ち歩かないのが基本です。

控えの残し方

印鑑証明書は取るたびに有効期限が始まる書類なので、過去の証明書を保管しておく意味はあまりありません。残すべきは、印鑑登録証の番号と、どの印鑑を登録したかです。手でやるなら、印鑑登録証の表面と、登録した印鑑の印影(白い紙に押したもの)を撮影し、ロックのかかる場所に入れておきます。印影の写真はそれだけで何かを証明するものではありませんが、「どの印鑑が実印か」を家族が判別する手がかりになります。

Paperlockに印鑑登録証と、取得した印鑑証明書を入れておけば、発行日を読み取って保存し、「印鑑証明はいつ取った?」と聞けば該当する書類を添えて答えます。提出先の期限から逆算して取り直すタイミングが分かります。

登録の条件、手数料、コンビニ交付の対応は市区町村ごとに違います。手続きの前に、住民登録のある市区町村のページで確認してください。