個人には、会社と違って法律上の書類保存義務はほとんどありません。だから期間を決めるのは義務ではなく「後で証明を求められたときに出せるか」です。目安を言うと、税金まわりは5年、給与は3年、持ち物の証明は持っている間ずっと。以下、家にある書類の種類ごとに見ていきます。
期間の一覧
| 書類 | 目安 | 理由・根拠 | 原本かコピーか |
|---|---|---|---|
| 確定申告書の控えと保存書類 | 5年 | 法定申告期限から。更正の請求や税務調査の期間に対応 | 複写で足りることが多い |
| 事業・不動産所得の帳簿、決算関係書類 | 7年(一部5年) | 所得税法施行規則63条 | 原本 |
| 医療費の領収書 | 5年 | 医療費控除の裏付けとして自宅保存が必要(国税庁) | 原本 |
| 源泉徴収票・給与明細 | 3年を目安 | 賃金請求権の消滅時効は当分の間3年(労働基準法115条) | 源泉徴収票は長く |
| 住宅・不動産の契約書、登記識別情報、領収書 | 所有している間ずっと | 売却時の取得費の証明に必要 | 原本 |
| 保険証券 | 契約期間中と、その後数年 | 請求もれや満期後の確認のため | 原本 |
| 保証書・レシート | 保証期間中。高額家電は使用中ずっと | 修理請求と、火災・盗難時の価額証明 | 複写で足りることが多い |
| 賃貸の契約書、重要事項説明書、入退去時の写真 | 退去後も数年 | 敷金返還請求権の消滅時効は5年(民法166条) | 複写で足りることが多い |
| 公共料金・カードの明細 | 支払い確認後は不要 | 住所証明として直近1通だけ | 複写 |
| 戸籍・各種証明書 | 永年 | 再取得に手間と費用がかかる | 原本 |
税金まわりの5年と7年
確定申告に関係する書類は、法定申告期限から原則5年が目安になります。更正の請求ができる期間や、税務署から確認を受ける可能性のある期間に対応した長さです。
そこに例外があります。事業所得や不動産所得があって帳簿をつけている場合、帳簿と決算関係書類は7年(一部は5年)の保存が求められます(所得税法施行規則63条)。副業で開業届を出している方はこちらです。
医療費控除は2017年分から扱いが変わりました。領収書を税務署に提出する必要はなくなり、代わりに「医療費控除の明細書」を提出します。ただし領収書は自宅で5年間保存する義務があります。「提出しなくていい」を「捨てていい」と読み替えると、あとで求められたときに困ります。
給与と年金の記録
賃金請求権の消滅時効は、労働基準法115条により当分の間3年とされています。残業代の未払いなどを問題にできる期間がここです。給与明細は3年を目安に残してください。
源泉徴収票はもう少し長く持つ価値があります。年金の記録に抜けがないか「ねんきん定期便」と照合するとき、勤務先と在籍期間の裏づけになるからです。かさばるものではないので、年に1枚ずつ積み上げても場所を取りません。
持ち物の証明は「持っている間ずっと」
不動産の売買契約書、登記識別情報、購入時の領収書は、所有している間ずっとです。売却するときの譲渡所得の計算で、取得費を証明するのに購入時の契約書と領収書が必要になります。数十年後に効いてくる書類はこれくらいしかありません。
高額な家電も似た性質があります。保証期間が終わっても、火災保険や盗難の請求で「いつ、いくらで買ったか」を示す資料になります。
保険証券は契約期間中はもちろん、解約や満期のあとも数年は残しておくと、請求もれの確認ができます。
原本が要るもの、複写で足りるもの
紙を減らすときの判断基準は「これは原本でないと通らないか」です。戸籍謄本、登記識別情報、不動産の売買契約書、帳簿、医療費の領収書は原本のまま残します。原本を求められる場面が実際にあり、再発行に費用と時間がかかるからです。
一方、公共料金の明細、給与明細、レシート、保証書、賃貸の契約書の控えは、内容が読めれば複写で足りる場面がほとんどです。紛失に備えるという意味では、複写のほうがむしろ強い。原本は1つしかありませんが、複写は災害でも一緒には消えません。
紙で残すものは1つの箱にまとめ、それ以外は撮って処分する。これだけで押し入れの書類は目に見えて減ります。
捨てていいもの
公共料金の明細、カードの利用明細、ATMの控えは、支払いが確認できたら役目が終わります。住所を証明する場面に備えて直近の1通だけ残せば十分です。
家電の梱包材と一緒に入っている取扱説明書も、メーカーのサイトで公開されていることがほとんどです。ただし保証書は別で、これは残します。
賃貸の契約書と入退去時の写真は、退去後も数年は残してください。敷金返還請求権の消滅時効は5年(民法166条)ですが、実務では退去後1〜2年で決着することが多いです。
保管の仕方
手でやるなら、年に1回、確定申告のあとに1時間だけ取ります。年をまたぐ書類(税金、保険、契約)と、その年で終わる書類(明細類)を分け、前者を撮影して年ごとのフォルダに入れ、後者は処分する。原本が要るもの(戸籍、登記、医療費の領収書、帳簿)だけ紙の箱に残します。紙の書類を家で整理する方法と重要書類のバックアップに手順があります。
同じことを分類の手間なしに済ませるなら、Paperlockのような書類金庫アプリに撮って入れておく方法があります。日付や金額を読み取って自動で整理し、期限のあるもの(保険、保証、契約の更新)は30日前と7日前に通知が届きます。通知をオンにすれば、あとは設定するものがありません。
家じゅうの書類を洗い出すところからなら、家庭の書類一覧やチェックリストを使うと抜けが見つかります。
保存期間は制度の改正で変わることがあります。税金の扱いで迷ったら、国税庁の案内か所轄の税務署に確認してください。