カルテ(診療録)の保存期間は、医師法第24条で5年と決められています。保険診療の場合は療養担当規則が、患者の診療録はその完結の日から5年、検査記録などそれ以外の帳簿・書類は3年と定めています。つまり、病院に「必ず残っている」と言えるのはおおむね最後の受診から5年までで、それより古い記録は病院の判断で残っているかどうかが分かれます。自分の記録を手に入れたいときは、厚生労働省の指針に基づいて開示請求ができ、医療機関は原則としてこれに応じる義務があります。この記事は、保存期間の一覧、開示請求の手順と費用、亡くなった家族の記録、そして5年を超えて自分で残しておくべき書類の順に説明します。

カルテの保存、3つの数字
  • 5年診療録(カルテ)の保存義務医師法第24条。保険診療では完結の日から5年
  • 3年療養の給付に関する帳簿・書類保険医療機関及び保険医療養担当規則第9条
  • 5年医療費控除に使った領収書の自宅保存国税庁。提出は不要になったが保存義務は残る

出典:厚生労働省(医師法・療養担当規則)、国税庁。2026年10月確認。

保存期間の一覧:5年と3年、それぞれ何が

医療の記録はどこに、いつまで残るか
  • 診療録(カルテ)医師法第24条。病院・診療所が保存5年
  • 療養の給付に関する帳簿・書類(検査記録など)療養担当規則第9条。完結の日から3年
  • 医療費控除に使った領収書(自宅)法定申告期限から。国税庁5年
  • お薬手帳・検査結果の写し(自分で)義務ではないが、5年を超える記録は自分しか持っていない一生

医師法第24条は、医師は診療をしたときは遅滞なく診療録に記載し、病院や診療所に勤務する医師の診療録はその管理者が、それ以外はその医師が5年間保存しなければならないとしています。違反には罰金の規定もあります。

保険診療を行う医療機関には、さらに療養担当規則第9条が適用されます。療養の給付に関する帳簿及び書類その他の記録はその完結の日から3年間、ただし患者の診療録は完結の日から5年間です。数え始めは受診した日ではなく、その記録の「完結の日」です。

厚生労働省の資料では、保存期間を5年とした理由として、適切な医療の要請と、長期保存を課した場合の医療機関の負担のバランスが説明されています。継続的な治療などで医学的に必要な場合は5年を超えて保存している医療機関もありますが、それは義務ではなく、医療機関の判断です。

カルテの開示請求のしかた

カルテの開示請求の流れ
  1. 医療機関の窓口に開示の方法を聞く多くは医事課・患者相談窓口。申請書の様式と費用の目安を確認
  2. 本人確認書類を添えて申し立てる代理人なら委任状や続柄が分かる戸籍も
  3. 準備を待つ数日から数週間。コピー枚数や画像データの有無で変わる
  4. 費用を払って受け取る実費を勘案した合理的な範囲内と厚労省が示している
  5. 受け取った写しを撮影して保管する紙は1部しかない。次の医療機関で見せるのにも便利

厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」(2003年)は、医療従事者等は患者から診療記録の開示を求められた場合、原則としてこれに応じなければならないと定めています。開示を求められるのは患者本人のほか、法定代理人、患者本人から代理権を与えられた親族などです。

手続きは医療機関の管理者が定めた方式に従います。多くの病院では医事課や患者相談窓口に申請書があり、本人確認書類を添えて申し立てます。開示の全部または一部を拒む場合、医療機関は原則として文書で理由を示し、苦情処理の体制についても説明しなければなりません。拒めるのは、第三者の利益を害するおそれがある場合や、患者本人の心身の状況を著しく損なうおそれがある場合に限られます。

費用と、断られたときの対応

費用は医療機関が決めますが、指針は実費を勘案して合理的な範囲内でなければならないとしています。2018年の厚生労働省通知は、開示に要する費用について疑義が多く寄せられたことを受け、人件費を含めることはできるが手数料は合理的な範囲に収めること、医師の立ち会いを開示の必須条件とすることは不適切であることを明示しました。

費用が高すぎると感じたとき、理由の説明なく断られたときは、まず院内の相談窓口に文書での回答を求め、それでも解決しなければ都道府県の医療安全支援センター(医療相談窓口)に相談できます。

亡くなった家族のカルテ

患者が死亡した場合、指針は遺族への診療情報の提供について、開示の規定を準用すると定めています。請求できるのは患者の配偶者、子、父母およびこれに準ずる者(法定代理人がいる場合は法定代理人)です。続柄が分かる戸籍謄本と、請求する人の本人確認書類を用意します。相続や保険金の請求、医療事故の確認などで必要になることがあり、保存義務の5年が過ぎる前に動くことが大切です。

自分の手元に残す医療の書類

病院が5年で手放す記録を、自分で持ち続ける手段は3つあります。

領収書と診療明細書。 保険医療機関は費用を受け取るとき、正当な理由がない限り区分ごとの領収証を無償で交付し、レセプトを電子請求している医療機関は診療行為ごとの明細書も無償で交付することになっています(療養担当規則第5条の2、2020年3月の厚生労働省通知)。明細書には薬剤名や検査名が載るので、これ自体が診療の記録です。医療費控除に使った領収書は5年間の自宅保存が必要なので、どちらにしても捨てられません。

お薬手帳と検査結果の写し。 血液検査の結果票、画像診断の報告書、紹介状の控えは、求めれば渡してもらえることが多く、次の医療機関で説明の手間を省きます。

自分のメモ。 受診日、診断名、処方、次の予約。これだけでも、年月が経ってから「あのとき何と言われたか」を再現できます。整理のしかたは医療記録の整理法に、医療費が高額になったときの請求期限は別のページにまとめました。

スマホで医療の記録を残すコツ

手でやるなら、領収書と明細書を帰り道に1枚ずつ撮り、「病院」のアルバムに入れ、年末にまとめて医療費控除の計算に使います。検査結果は結果票ごとに撮影し、日付が読める向きで残します。

Paperlockに入れておけば、病院名、受診日、金額、薬や検査の名前を読み取って自動で整理し、「去年の血液検査の結果は?」「3月に払った医療費の合計は?」と聞けば、該当する書類を添えて答えます。医療の書類はサムネイルがぼかされ、開くときにFace IDを求めます。

開示の方式や費用は医療機関ごとに違います。請求する前に、その医療機関の案内か相談窓口で手続きを確認してください。