家電やスマートフォンのメーカー保証は、法律上の義務ではなくメーカーが任意で付ける約束で、期間は1年が一般的です。そして保証期間が切れても、民法の契約不適合責任という別の権利が残ります。どちらを使うときも、要るものは同じ——購入日が分かる書類と、製品の型番です。

保証は3種類あります

「保証」と一言で呼ばれているものは、性質のまったく違う3つが混ざっています。誰が責任を負うのか、いつまでなのか、何を見せれば通るのかが、それぞれ別です。

メーカー保証 販売店の延長保証 契約不適合責任
誰が負う メーカー 販売店・保証会社 売った相手(販売店など)
性質 任意の約束 有料または購入特典 民法上の権利
期間 家電・スマートフォンでは1年が一般的 3年・5年など規約による 不適合を知った時から1年以内に通知
必要な書類 保証書(購入日・販売店印)とレシート 加入時の規約・申込書・レシート 購入の事実と不具合を示せる記録すべて
根拠 各社の保証規定 各社の保証規約 民法562〜566条

メーカー保証は「無償修理保証」とも呼ばれます。保証書に購入日と販売店印が要るとされることが多く、購入日を証明するレシート・領収書・注文確認メールとセットで初めて機能します。逆に言えば、保証書だけ大事にしまってレシートを捨てると、片肺で飛ぶことになります。

販売店の延長保証は、レジで勧められるあれです。対象範囲と免責(落下、水没、消耗品の交換など)は各規約次第なので、加入したなら規約そのものを残してください。

保証期間が切れた=終わり、ではありません

2020年4月1日に施行された改正民法で、それまでの「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」になりました。買った物が契約の内容に適合していないとき、買主は追完請求(修理・交換)、代金減額、契約の解除、損害賠償を求められます(民法562〜564条)。

期限があります。買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しなければなりません(民法566条)。ここでいう1年は「気づいてから」なので、保証書の1年とは数え方が違います。

また、消費者契約法8条により、事業者が契約不適合責任を全部免除する条項は無効です。契約書に「一切責任を負わない」と書いてあっても、そのまま通るとは限りません。

ただし現実的な壁があります。証明の負担は買主にあり、時間が経つほど「買った時からそうだった」と示すのが難しくなります。だから記録が効きます。

買った日にやると、あとが楽になること

保証が使えなかった事例の多くは、製品の問題ではなく書類の問題です。箱を開けたその場で3分だけ使うと、あとの手間がまるごと消えます。

化粧箱を捨てる前に型番の表示を撮る。本体の銘板(冷蔵庫なら扉の内側、テレビなら背面)を撮る。保証書に販売店印と購入日が入っているか、その場で確認する。ネット通販なら注文確認メールを保存する。この4つです。

とくに販売店印は、あとから押してもらうのが難しい項目です。レジで受け取った時点で空欄なら、その場で店員に確認してください。通販の場合は納品書や注文履歴が購入日の証明になることが多いので、メーカーの案内で扱いを確かめておくと安心です。

実際に必要になる書類

修理や交換を頼むときに、窓口から求められるものはだいたい決まっています。

  • 保証書 — 販売店印と購入日の記入があるもの。
  • レシート・領収書・注文確認メール — 購入日と金額、購入店が分かるもの。
  • 型番と製造番号 — 本体の銘板やバッテリー裏のシールにあります。冷蔵庫を壁から引き出すより、買った日に撮っておくほうが楽です。
  • 不具合の証拠 — 症状の写真や動画、エラー表示の画面。
  • 問い合わせの記録 — 電話した日付、担当者名、言われた内容のメモ。

感熱紙のレシートは数か月から1年ほどで文字が薄くなり、保証期間より先に読めなくなることがあります。買った日に撮影しておくのが唯一の対策です。保証期限の管理方法大きな買い物の返品・保証の進め方も合わせてどうぞ。

修理が終わったあとにも期限があります

修理受付は購入店経由かメーカー窓口です。そして見落とされがちなのが、修理後に付く「修理保証」。多くは3か月から6か月で、同じ箇所が再発した場合の再修理が対象になります。修理伝票を受け取ったら、その日付から数えた期限も別の期限として記録してください。同じ箇所が3回壊れるとき、この日付が効きます。

保管の仕方

手でやるなら、買った日に次の4枚を撮ります。レシート、保証書、本体の型番シール、化粧箱の型番表示。撮ったらアルバムを1つ作って(「保証」など)そこに入れ、カレンダーに「◯◯の保証終了」を購入日+保証期間で入れておきます。延長保証に入ったなら、その終了日も別に入れます。ここまでで1回の買い物につき30秒ほどです。

同じことを手を動かさずにやるなら、Paperlockのような書類金庫アプリにレシートと保証書を入れておく方法があります。日付や金額を読み取って自動で整理し、期限の30日前と7日前に通知が届きます。通知をオンにすれば、あとは設定するものがありません。購入記録の作り方期限の一覧も使えます。

どちらでも構いません。大事なのは、レシートと保証書と型番が「同じ場所に、同じ日に」揃うことです。3年後に3か所を探し回るのが、いちばん保証を無駄にします。

話がこじれたとき

販売店やメーカーとの話が進まないときは、消費者ホットライン188(いやや)に電話すると、近くの消費生活センターにつながります。国民生活センターのサイトには、同種のトラブルの相談事例と注意情報がまとまっています。

対応は製品や各社の規定、購入経路によって変わります。迷ったら窓口や消費生活センターに確認してください。相談の前に、上の書類を1か所に集めておくと話が早く済みます。